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オモチャ~あやのの場合(1) 

「おじ様、お待たせしました」
「いやいや、あやのちゃん、よく来てくれたね。かけなさい」
「はい」
あやのは腰掛けた。シティホテルの1Fにあるカフェは客もまばらだった。
あやのは私立白雪女子学園中学に通う中学2年生だった。眩しいほどの美少女だった。また、その姿勢の良さや立ち居振舞いの美しさから育ちの良さが感じられた。
「あやのちゃんも、コーヒーでいいかな」
「はい」
あやのから「おじ様」と呼ばれた中年の紳士はウェイトレスに注文をした。この男は、機械部品製造の会社を経営するあやのの父の友人でやはり会社を経営していた。家族ぐるみの付き合いで、年に何度かはお互いの家を訪問し合っていた。
「早速だが、このニュースは知っているかい」
男はあやのの隣の席に移ると、手に持った新聞の記事を指差しながら聞いた。大手のメーカーが粉飾決算の上、倒産したという記事だった。
「ええ、テレビでもやっていましたから」
とはいえ、女子中学生のあやのは関心が薄かった。
「あやのちゃんのお父さんの会社は、この会社と取引があってね。倒産の影響で大損害を被ってしまったんだ」
「エエッ?」
男の話だと、今まで取引の無い会社だったが、急にあやのの父の会社に大口の注文があり、納品した途端に倒産したそうだ。しかも既に転売されていたので納品した部品の回収もできなかったらしい。
「それで、昨日もお父さんが私の所に来て『つなぎの資金を融資してくれないか』と頼みに来たんだ」
男はポケットからボイスレコーダーを取り出した。あやのがイヤホンを耳につけると再生を始めた。
(本当だ。お父様がおじ様にお金を借りようとしている・・・)
父の悲痛な叫びが聞こえて来た。
「頼む、このままではウチも倒産してしまう。取引先に迷惑をかけないようにするには、もう私が自殺して保険金でなんとかするしかないんだ!」
あやのの手が震えた。最近両親の様子がおかしいと思ってはいたけど・・・責任感の強い父なら、自殺しかねない・・・
「おじ様、お願いします。父を助けて下さい」
男はニヤリとすると、あやのの手を握りながら言った。
「まあ、全てはあやのちゃん次第だな・・・」

【その2へ続く】

[2009/01/13 06:00] オモチャ~あやのの場合 | トラックバック(-) | コメント(-)