2ntブログ
最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

月別アーカイブ

広告

リンク
ランキング
DTIランカー
FC2ブログランキング
RSSリンクの表示

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[--/--/-- --:--] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

誘拐~ともよの場合(1) 

「いいか娘は誘拐した。娘がパンツ丸見えで縛られている写真をポストに入れたから見てみろ。身代金は6千万。受渡し方法は後で指定する。警察には知らせるな。知らせたら娘がどういうことになるかわかるはずだ」
それだけのことを言うと、男は公衆電話を切った。すぐに携帯を取り出し電話をかけ用件だけを短く伝えた。
「完了。そっちに戻る」

携帯の連絡先のマンションの一室では、若い男2人と女が一人、それに後ろ手に手錠をはめられた女子中学生がいた。
女子中学生ともよは涙声で若い女に助けを求めた。
「先生、お願いです。手錠を外して下さい」
女はともよの家庭教師だった。今日学校帰りに偶然を装って声をかけ家まで送ると言って車に乗せて自室に拉致していた。
ともよには仲の良い家庭教師がなぜこんなことをするのかわからなかった。
「うるさいわね。静かにしなさい。あんたは誘拐されたのよ」
「えっ?」
「あたしねぇ、あんたみたいな『わたくし、お嬢様です』っていう子、大嫌いなのよね」
「そんなあ」
パソコンを操作していた男の一人が、
「おい、奥さん、だんなに電話をかけているぞ。すぐに戻ってくるらしい」
と言った。
「わかったわ」
ともよには何がなんだかわからなかった。実は家庭教師の女がともよの家を訪れた時に家の中の数ヶ所に盗聴器を仕掛けていたのだ。盗聴器の電話はともよの家の庭先に置いた中継装置を経由して、近所にあるこのマンションに届くようになっていた。
被害者であるともよの家の中の状況は犯人たちに筒抜けになっていたのだ。
ともよはだんだんと我慢できなくなってきて少しづつ身をよじり始めた。
「おしっこしたいのか?」
男が揶揄するように言った。図星だった。

【その2へ続く】

[2008/12/24 06:00] 誘拐~ともよの場合 | トラックバック(-) | コメント(-)