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家出~ゆきのの場合(6) 

雪乃の両親は、学生結婚と言えば聞こえはいいが、実際にはできちゃった結婚だった。
幸い両家ともに資産家であったので、何事も無かったかのように結婚の段取りがつけられた。
一人娘の雪乃が小学生の頃は、実に仲のいい家族だった。
それが、2年前に突然破綻を来した。
父親が出張している間に、母親が男の元に走ったのだ。
その男は両親の大学時代の友人だった。
雪乃にとってもショックな出来事だったが、父親にとっては雪乃の比ではなかったようだ。
半狂乱になったらしい。
母親は父親に離婚と雪乃の引渡しを求めたが、父親は応じなかった。
仮に裁判を起こしても日本の法律では男をつくって飛び出した母親の立場は圧倒的に弱い。
2年たってもズルズルと泥沼状態が続いていた。
父親が雪乃に手を出したのは母親が家を出てから一ヶ月ほどしてからだった。
酒に酔った父親は、夕食後甲斐甲斐しく食卓の後片付けをする雪乃に言った。
「雪乃、お前、誰の子だ? 俺の子供じゃないだろう、あいつら二人の子なんだろう!」
そう言いながら中学一年生の娘に襲いかかっていった。

雪乃はその時のことを寂しげな微笑を浮かべながら言った。
「父は泥酔していましたから抵抗しようとすればできたと思います。
 でも、できませんでした。
 私が母親似で父には全然似ていないことは私自身子供心に不思議に思っていましたから、虚を突かれた感じでした。
 それに、父は母の名前を呼びながら私の上に覆い被さってくるのです。
 父のことが可哀想に思えたのです。
 何より、その頃の私は母も父も信じられなくて自暴自棄な気持ちだったから『どうでもいいや』という気持ちだったのが大きいと思います」
雪乃はそこで言葉を切った。
「でも、それがいけなかったのです」

【その7へ続く】

[2009/04/12 06:00] 家出~ゆきのの場合 | トラックバック(-) | コメント(-)