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家出~ゆきのの場合(2) 

僕は頭をフル回転させた。そして、
「こんな時間に女の子が一人で外を歩いていたら警察に補導されてしまうよ」
と言った。
この美少女が家出をしてきたのだとヤマを張って脅かしたつもりだった。
「エッ、で、でも・・・」
狙いは当たったようだった。
少女は明らかに落ち着きを失っていた。
よほど家に帰りたくない事情があるのだろう。
「良かったら、朝まで僕の部屋で休んでいかないか?」
自分でも声がうわずるのがわかった。
だが、少女の反応は予想外だった。
じっと僕の顔を見ると、短く、
「はい」
とだけ言った。
その声は先ほどとはうってかわって冷たい響きだった。
少女が逡巡っするだろうと思っていた僕は何と言っていいかわからず、少女の腕を離すと、自分の部屋の鍵を開けた。
「さあ」
そう言うのがやっとだった。
少女は、
「失礼します」
と小声で言いながら部屋に入ってきた。
この部屋に女性を入れるのは初めてのことだった。
僕は緊張で喉がカラカラになっていた。
「僕は外で待っているから、濡れた服は干して、そのベッドで寝ていいよ」
「でも、それでは」
「気にしなくていいよ。僕はカーペットの上で毛布にくるまって寝るから」
そういうと、僕は部屋を出て軒下でタバコを吸った。
ドキドキしてタバコの味もわからなかった。
「どうぞ、入って下さい」
インターホン越しに少女の声がした。
僕が部屋に入ると電気が消されていた。
目を凝らして見ると、少女がベッドに寝ていた。
「すみません」
少女が消え入りそうな声で言った。
「いいよ、おやすみ」
僕は押入れから毛布を出すと、カーペットに横たわった。

【その3へ続く】

[2009/04/08 06:00] 家出~ゆきのの場合 | トラックバック(-) | コメント(-)