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家出~ゆきのの場合(1) 

僕には、最初、それが何なのかわからなかった。
居酒屋のバイトの帰り。もう、既に十二時を回っていた。
小雨の降る中を、疲れた体で歩き、自分が住む安アパートに着いた時だった。
アパートの二階に上がる階段の下に「何か」がうずくまっていた。
小心者の僕は飛び上がってしまいそうなぐらい驚いた。
だが、すぐにそれが制服を着た少女が座っているのだとわかった。
「ね、ねぇ、キミ」
僕はオドオドしながら声を掛けたが、少女は眠っているらしく反応が無かった。
僕はドキドキしながら少女の肩に触れた。
僕が生まれて初めて女の子の肩に触れた瞬間だった。
少女の制服はかなり湿っていた。
おそらく雨の中を歩いていたのだろう。
肩に触れただけでは、少女は目を覚まさない。
僕は仕方なく少女の肩を揺すった。華奢な体が揺れた。
少女はやっと顔を上げた。
僕はその顔を見てハッとした。
暗がりでもはっきりわかるほどの美少女だった。
「ど、どうしたんだい? こんな所で眠ったりして、危ないよ」
少女は目を伏せると、ゆっくりと立ち上がった。
「ご心配おかけして申し訳ありません。大丈夫ですから」
そう言うと僕に向かって丁寧にお辞儀をした。
僕はその時になって、少女の制服がお嬢様学校として有名な私立白雪女子学園のものだと気付いた。
まだ幼さの残る顔立ちからしても、中学生だろうに、しっかりした挨拶に、さすがは白雪女子のお嬢様だ、と感心してしまった。
少女は制服のミニスカートの裾をはたくと、まだ小雨が降っている道を歩いていこうとした。
僕は反射的に少女の掴んだ。
少女は顔をこわばらせた。
僕自身も自分がそんな大胆な行動を取ったことが信じられ無かった。
僕は慌てながら自分の行為を取り繕うように言った。
「雨の中、傘もささずに歩いたら風邪をひくよ」
少女は困った表情を浮かべた。
その時、僕は自分が何を求めているのか気付いた。
目の前にいる美少女を取り逃がしたくないというよこしまな想いにかられていたのだ。

【その2へ続く】

[2009/04/07 06:00] 家出~ゆきのの場合 | トラックバック(-) | コメント(-)