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「これが惚れ薬か?」
「ああ、そうだよ」
「本当に効くのか? 一体どういう原理なんだ?」
「まあ簡単に言えばフェロモンだな」
「なんともうさんくさいなぁ。そもそも人間はフェロモンなんか出しているのかよ」
「出しているよ、しかも実に大量にね」
「それ、どういう意味?」
「まずそこから説明しよう。人が一日に食べる米を作るために必要な面積はどのくらいだと思う?」
「えっ、……考えてみたことも無いな」
「正解は1坪、畳2畳分だ。年にすると1反=300坪が一人分の米を作るのに必要な面積ということになる。
約千㎡、50m×20mだな」
「結構広い土地が必要なんだな」
「しかも、これは農業という効率の高い生産方式を前提としている。
人類史の大半を占める狩猟採集生活だともっと広い面積が必要だ。
肉食動物だともっと大変で1組のライオンの一家が生きていくのには山手線の中に匹敵するほどの面積が必要だと聞いたことがある」
「豆知識はとりあえずわかったけど、それがフェロモンとどう関係があるんだ?」
「人類という生物種は百万年の間もっとはるかに人口密度が極小な生活環境に合わせて進化を続けてきた。
農業がメソポタミアで誕生してからまだ1万1千年しかたっていない。
遺伝子が変異するには短過ぎる。
人間は本来、現在の都市部のように人口が密集しているところでは生きられるはずのない生物なんだ」
「つまり人口密度が高いことで遺伝子と環境のミスマッチが生じている、ということか」
「そうだ。だから、人間は異性に向けてフェロモンを出しているのだが、今の生活環境ではあまりに溢れ過ぎていて気付かないだけさ。
多くの動物にある『発情期』を人間が失った理由もこれで説明がつく。『発情期』を失った、のではなく、人間は溢れるフェロモンのために年中『発情期』なのさ」
「なるほど、それで今までフェロモンが『発見』できなかったのか」
「そうだ。そこに気付けばあとは簡単だ。
空気中の成分を分析し同定したフェロモンを濃縮したのが、この惚れ薬さ」
「わかった、その薬をくれ、試してみたい」
【その2へ続く】